研究インターンシップは、博士課程学生が自らの研究力を活かし、企業の研究開発の現場で新たな視点や課題解決力を磨くための機会です。
C-ENGINE(産学協働イノベーション人材育成協議会)は、大学と企業が連携して、博士人材が研究を通じて成長できる「研究型インターンシップ」を推進しています。
本記事では、その意義や仕組み、大学・企業・学生それぞれにとっての価値を詳しく紹介します。

研究インターンシップとは?博士人材育成における意義
研究インターンシップは、博士後期課程を中心とする大学院生が、企業の研究現場で一定期間にわたり研究活動を行う仕組みです。単なる職業体験ではなく、「研究を軸にした学びと共創」を目的としています。
博士人材が企業の研究課題に向き合うことで、専門知識を社会に活かす力を養い、同時に企業は大学の知を取り込みながら新しい研究シーズを得ることができます。
C-ENGINEでは、こうした活動を「キャリア形成支援」と「産学共創型研究」の両面から支えています。
研究インターンシップの目的
- 研究を通じた実践的スキルと課題解決力の育成
- 研究成果の社会実装を意識した研究姿勢の形成
- 博士人材と企業研究者のネットワーク構築
C-ENGINEが推進する特徴
- 大学と企業の協定に基づく制度的な枠組み
- 研究テーマ・期間を柔軟にカスタマイズ可能
- 単位認定・学位プログラムとの接続を重視
博士課程における研究インターンの価値
博士課程学生にとって、研究インターンシップは“研究の延長線上にある実践”です。
企業での研究を通じて、自身の専門性を社会的文脈で再評価し、キャリアの可能性を広げることができます。
- アカデミアの知を企業課題に応用する経験
- 社会実装・異分野連携・知財管理の現場理解
- トランスファラブルスキル(RISEスキル)の体得
RISEとは、自立した研究者に必要な能力・資質・行動特性を以下の4要素に体系化したトランスファラブルスキル・フレームワークです。

これを意識化することで、研究を通じて得られる能力を可視化し、研究者としての活躍につなげます。
🔗RISEの詳細はこちら
大学・企業・学生それぞれにとってのメリット
大学院生にとって
- 研究力を社会課題解決に活かす経験
- 異なる視点・手法を知ることで大学での研究にも良い影響
- キャリア形成の自信と新たな方向性の発見

大学にとって

- 博士教育の実践的深化とキャリア支援の強化
- 産業界との共同研究の拡大
- 学生成果の可視化による教育プログラムの質向上
企業にとって
- 博士人材の能力・発想に基づくR&Dの刺激
- 自社の研究テーマに外部知を導入できる機会
- 中長期的な人材確保とオープンイノベーションの促進

成功のためのポイント
C-ENGINEの研究インターンシップは、大学・企業・学生の三者協働で進めます。
事前の準備と目的共有が、成功の鍵です。
- 研究テーマと期間の柔軟な調整
- 教員/大学コーディネーターと企業担当者の連携体制整備
- 研究計画と成果の扱い(知財・公開範囲)の合意
- 学生・企業双方が「参加目的」を明確にする
- 学生・企業双方の積極的な情報交換
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知的財産・契約・安全面への配慮
C-ENGINEでは、大学と企業が「研究インターンシップ実施契約」を締結し、学生は誓約書に同意した上で参加します。
秘密保持・成果の権利帰属・安全管理など、安心して研究に取り組める環境を整えています。
- 秘密保持契約(NDA)・知財の取扱いを明確化
- 保険制度(学研災・学研賠など)への加入確認
- 大学・企業連携サポート体制
🔗各種様式・テンプレートはこちら
文化と科学をつなぐ学びの場として
研究インターンシップは、単なるキャリア形成支援にとどまらず、学術と社会の境界を越えて新たな価値を生み出す「文化的実験の場」でもあります。
異なるバックグラウンドの研究者・企業人との協働を通じて、発想が磨かれ、視野が広がります。
C-ENGINEは、博士人材が多様な研究の舞台で活躍する未来を見据え、産学協働の枠組みを進化させ続けます。
- 学生・企業間相互理解深化の場として、定期的に「学生と企業の交流会」を開催しています
- C-ENGINEでは毎年シンポジウムを開催し、イノベーション創出・博士人材育成における研究インターンシップの意義をはじめ、さまざまなテーマでご議論いただき、課題を共有しております
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まとめ
研究インターンシップは、博士人材育成と産業界のイノベーションをつなぐ「共創の場」です。
研究の深化と応用のあいだにある“溝”を乗り越えることで、新しい学びと価値が生まれます。
C-ENGINEは、今後も大学・企業・学生がともに学び合い、未来を拓く博士人材の成長を支援していきます。
