【C-ENGINE研究インターン詳細事例vol.24】ワクチン領域の創製研究

C-ENGINEでこれまで実施された研究インターンシップ、様々なグッドプラクティスが報告されています。その中で、C-ENGINE事務局が、参加した学生・指導教員・企業担当者の声を、インタビュー記事として詳細事例にまとめました。

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研究室の外へ自分の可能性を探しにいく

インターンシップ概要

実施期間:2024年3月1日~2024年4月30日(2カ月間)

受入企業:塩野義製薬株式会社

テーマ:ワクチン領域の創製研究

S 34676738 【C-ENGINE研究インターン詳細事例vol.24】ワクチン領域の創製研究 C-ENGINEでこれまで実施された研究インターンシップ、様々なグッドプラクティスが報告されています。その中で、C-ENGINE事務局が、参加した学生・指導教員・企業担当者の声を、インタビュー記事として詳細事例にまとめました。
京都大学工学研究科D1(当時)
矢澤佑貴さん

研究インターンシップに参加しようと思ったきっかけは?

私は現在、工学研究科で高分子化学を専攻し、ワクチンキャリアの開発に関する研究に取り組んでいます。修士課程2年の夏頃、博士課程を見据えて、自分の研究の方向性に迷いが生じていたのがきっかけでした。
学振の申請書などを書き進める中で、実際に世界中でどんなワクチンが求められ、製薬企業の開発現場ではどのようなワクチンを作ろうとしているのかを学びたいと思っていました。また私の所属する研究室では医薬系と比較して生物学的・免疫学的な知識も評価方法も十分ではないため、本格的なワクチン研究の実態を知りたいと考えていました。自分の研究テーマを社会実装していくためには何が必要か、新しい視点が欲しいと思うようになり、学外での実務経験を探していたところ、C-ENGINEの研究インターンシップの募集チラシを研究科の掲示板で偶然見つけました。塩野義製薬が提示していたテーマは、ちょうど自分の研究と非常に近い内容で、今の専門性を活かして、ワクチン開発に主体的に参画でき、さらに自身の研究にフィードバックできる貴重な機会になると感じ、すぐに応募を決めました。

応募時の状況や、受け入れまでの流れはどうでしたか

実は、この募集テーマはもともと博士課程の学生を対象としていたものでした。しかし、私はまだ修士課程ではあったものの、博士進学が内定していること、そして研究テーマとの高い親和性をアピールすることで、企業の方に柔軟に対応していただけました。面談では、自分がこれまで取り組んできた研究の背景と、企業インターンでどのような視点を得たいかをしっかり伝えることができたと思います。
インターンは2か月間にわたり、最初の月は週5日、翌月は大学の研究活動との兼ね合いで週4日のペースで勤務しました。毎朝9:00に社員寮から研究所に通勤しながらの参加で、最初は寮に帰ったらすぐ寝てしまうくらい疲れていましたが、配属チームの方々にも温かく迎え入れていただき、すぐに安心して活動できるようになりました。

研究インターンシップではどのような経験をしましたか

ユニバーサルワクチンと経鼻ワクチンの薬理チームで、有効な抗原を見つけるための探索研究に参画しました。大学の研究と比較して、特に印象的だったのは、実験の設計からデータ取得、解析、考察までを短いサイクルで回すという企業ならではのスピード感です。例えば、マウスを用いた免疫評価実験では、複数のプロジェクトが常時並行して進行しており、一日の中でも何かしらのプロジェクトの投与、採血、体重測定、ELISAによる抗体価の測定が行われていました。
先行しているプロジェクトの結果が出次第、すぐにワクチンを再設計して、後発プロジェクトに反映するスピーディーな研究開発力には驚かされました。自分の担当実験にも責任を持たせていただき、毎週の報告会では上司やチームメンバーの前でプレゼンテーションを行い、フィードバックを受ける機会もありました。
また、大学での研究内容についても研究員の方に1対1の面談を自主的に依頼し、多くの助言をいただくことができ、現在の研究にも活かされています。

特に印象に残っている取り組みはありますか

経鼻ワクチン開発のプロジェクトでは、「同じアジュバントを用いても、抗原の種類によって免疫応答に差が出るのはなぜか?」という実課題に取り組みました。文献調査の段階で、抗原の分子構造や荷電状態、サイズなどが取り込み効率に影響する可能性を見出し、仮説を立てて実験に臨みました。実際に蛍光標識を施した抗原を用いて、マウスの鼻粘膜細胞における取り込みを観察し、取り込み効率に顕著な差があることを確認できました。その結果に基づいて、より効率的な抗原設計案を提案するところまで進むことができ、実践的な創薬研究の醍醐味を味わうことができました。短期間でここまで深いプロジェクトに関われたのは、現場の方々の手厚いサポートがあってこそだと思います。

研究インターンシップを通じて得た成果や気づきは

まず実験設計力の向上という意味では、企業で求められる「正確さとスピードの両立」に対応する力が身についたと感じています。大学では自由に時間を調整して実験できますが、企業では限られたリソースの中で最大限のアウトプットを出すため、無駄のない動きや判断力が重要だということを学びました。
加えて、医薬品開発の全体像を学ぶことができ、創薬研究の中で自分の専門性の立ち位置や機能の仕方に関する視点も得られました。
また、コミュニケーション面でも大きな学びがありました。毎週の報告会では、積極的に仮説やアイデアを提案するようにしていましたが、その中で言葉足らずであったり、根拠不十分であったりして、うまく伝えられないことがありました。大学での研究では基本的に個人で進めるため、気になることがあればすぐに実験できますが、チームで進めるためには、根拠を明確にし、メンバーに納得してもらえるように意見を述べることの大切さを学びました。この経験により、自分の説明力や論理的思考力も鍛えられたと感じています。

キャリア形成の面ではどう感じましたか

企業研究職として働くことの魅力を改めて感じました。特に、チームでひとつの目標に向かって動くダイナミズムや、チーム内外の連携を含めたプロジェクト運営の実際に触れたことで、「自分もこのような環境で貢献したい」と強く思うようになりました。
印象的だったのは、複数のワクチン部門が同じフロアで密に話し合いながら研究を進めていたことです。部門を超えた活発な議論や情報共有が日常的に行われており、企業ならではの協力体制を肌で感じることができました。
今後の就職活動においても、インターンで得た経験やエピソードを具体的に語れることは大きなアドバンテージになると感じていますし、企業側からも「実際に現場を経験している」という安心感を持ってもらえると考えています。

自身の専門性について不安などはありましたか

塩野義製薬の研究部門には薬学や医学系出身の方が多く、最初は工学系の自分が馴染めるか少し不安がありました。しかし実際には、自分の専門性が逆に新しい視点として評価されることが多く、積極的に意見を求められる場面もありました。特に経鼻ワクチンのプロジェクトにおいて、抗原間の免疫応答の違いを考察する際の、化学の側面から抗原のサイズや疎水性などの観点で考えるアプローチが、薬学・医学出身の方々との違いとして活かされました。薬理系の方々はよりマクロな視点で免疫応答の結果から細胞や免疫シグナルの動きを考える傾向があると感じましたが、化学的側面からの抗原特性と細胞の相互作用の違いに着目するようなミクロな思考も議論の中で活かされていることを実感できました。
多様な専門性を持つ人々が協働する現場では、むしろ自分の「違い」こそが強みになるのだと気づきました。そうした意味でも、インターンは自信を持つ大きなきっかけになりました。

研究インターンシップ参加を検討している方へメッセージをお願いします

私自身も「自分に合うか分からない」「2カ月も研究室から離れる許可をもらえるか」と不安を抱えながらの参加でしたが、実際に飛び込んでみて得たものは想像以上に大きかったです。研究者としての視野が広がるだけでなく、社会との接点を持つことで、自分の研究の意義や立ち位置を見直すきっかけにもなります。悩む気持ちもよくわかりますが、ほんの少しの勇気が、きっと大きな変化をもたらしてくれると思います。研究に真剣に向き合っているからこそ、一度外に出て、別の視点から自分を見てみることをおすすめします。

博士課程学生の企業研究体験が育む俯瞰的視点と問いを立てる力

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京都大学工学研究科 
高分子化学専攻 
教授 佐々木 善浩 先生

矢澤さんから研究インターンシップ参加の相談があった際の印象や、当初の本人の関心についてお聞かせください

修士課程2回生の夏、学振の申請が終わった頃に相談を受けました。研究インターンシップのテーマは「ワクチン領域の創製研究」で、比較的臨床に近い内容でした。本人からは、「大学研究室という環境を一歩出て、社会実装の観点から求められているニーズや最先端技術を学びたい」との強い希望がありました。その視点には私も強く共感しましたし、もう少し広いところで、社会ではどういうニーズがあるのか、どういうことをやっているのか、臨床に近いところはどうなのかなどを勉強したいということでしたので、もちろん大賛成しました。

今回、参加を承認される上でご配慮された点について教えてください

彼の場合、すでに自身の研究は論文化できる段階にあったため、大きな調整は不要でした。ただし、研究室で後輩の指導も担っており、欠かせない存在だったため、修士・学部生の卒業が落ち着く3月〜4月をインターン期間として設定しました。
4月にはまた新入生の配属があるため、週1回は研究室に来ていただき、後輩の指導を継続してもらいました。6月からはカナダの大学への留学準備も重なり、本人は多忙だったとは思いますが、よく頑張っていました。博士課程の講義は少ないため、授業との両立には特に支障はありませんでした。

研究者育成の観点から見た、企業での研究インターンシップ体験の意義についてどのようにお考えですか

今回、本人は「経鼻ワクチンの最先端」など、研究現場での学びを通じて視野が大きく広がったと語っていました。企業で得た視点を大学に逆輸入することが非常に重要だと考えています。研究そのものの移植は知財の面から難しくとも、視点の移植は可能であり、それが博士課程教育における真のブレイクスルーをもたらすと考えています。
大学と企業では研究のアプローチが違います。企業では製品化への最短の道を歩むのではないかと推察しますが、我々は商業ベースではないため、そのような視点の違いもあります。我々は「一般の人にとっては、あまり意義を感じ難いこと」を、予算をかけてやっているという面もありますが、それが逆に楽しく、意義があるということを改めて認識したということがあったようです。多分そこが大事なポイントという気がします。良くも悪くも我々は大学という閉鎖された社会で生きているので、外の世界を見るということが重要です。

博士後期課程におけるキャリア形成支援としての研究インターンシップの活用についてのお考えをお聞かせください

大学院生が就職活動をする場合は、修士課程の頃から企業の研究で求められることを理解していきますが、博士課程に進んだ時に、大学の研究と企業の研究の違いを実際に体験することで、自分の適性を見極め、進路について冷静に判断できるようになります。ここが重要なポイントだと思います。矢澤さんはもともと企業就職を希望して博士課程に入ってきましたが、気が変わって大学に残りたければ、それは良いし、気が変わらず企業へ行くことになっても、やはり良いだろうという感じで見ていました。

研究インターンシップ参加前後で、学生の研究姿勢や視野・志向性に変化を感じられた点はありますか

研究への「向き合い方」が明確に変わったと感じました。インターンシップ前は与えられた課題に取り組む姿勢でしたが、参加後は自ら問いを立てて取り組む姿勢へと成長していました。
研究能力という意味では、本人はもう十分に高いレベルに達していたので、研究インターンシップに行ったことで、具体的に何かの研究能力が上がったということではないかとは思いますが、研究全体を俯瞰的に見る、向き合い方が変わったと感じています。
これは、「世間から見た時に自分の研究がどう見えているのか」という視点が出たのだと思います。その視点はプレゼンテーションの際にもとても大切で、他の人に対して説明する時の、自身のスタンスというものがより明確になりました。免疫関係の研究において、企業の研究では実際にどんなことをやっていて、自分はだいたいどの辺りの位置にいるのかという、自身の立ち位置をはっきりさせることができるようになったと感じています。

研究インターンシップ経験が学位研究の方向性や姿勢に影響を与えたでしょうか

研究室の外に出てみたことで、自身の研究が企業レベルでも高いニーズと価値を持つ可能性を実感し、大きな自信につながったようです。
大学の研究は(意外に)相当なレベルでやっていたんだなということを、彼は改めて認識したようです。大学で実施していることで、企業では実際には進め難いこともあるということを知って、それが逆に楽しいとか、意義があるんだということを改めて知ったということがあったようです。
大学の先生は「こんなことができたらすごいよね、世の中を変えられるよね」と言って、学生を勇気づけますが、企業では「もう少し足元も確実に見ましょうね」ということも言われるのではないかと思います。そういう自分のスタンスと立ち位置を認識した上で、研究の意義を考えるようになったのは大きな変化でした。

博士学生の研究インターンシップ参加を促進するうえでの留意点や、大学側の立場からの意見・要望をお聞かせください

大学の教員も運営に関わられており、多くの点ですでに十分に配慮されていると感じています。一方で、学生が研究インターンシップの意義を教員に説明しにくいケースもあります。たとえば、研究成果が思うように出ていない場合、「今、研究室を離れて他のことをしている場合でしょうか?」と教員から否定的に捉えられることもあるかもしれません。
また、研究がうまくいかない時、行き詰まった時に、教員の方でも「これは困った、進捗がみえないし、本人も意気消沈しているし、このまま行くとメンタル的にも心配だ」という時に、環境が変わると見方も変わるので「研究インターンシップに参加してみたらどう?」と提案してみるという考え方もあると思います。

学生を送り出す立場から感じられたこと、今後への期待や懸念などをお聞かせください

今回は、非常に手厚く受け入れていただいたと聞いており、歓迎会や送別会など、研究以外の経験も含めて大変ありがたく思っています。そうした交流の継続も、博士学生にとっては大切な経験になると思います。また、インターンシップが終わった後に、学生を送った縁で、企業と教員の交流のためのインフォーマルな会があれば良いと思います。企業での研究内容を開示するのは難しいかもしれませんが、秘密でない部分でも話せることは多くあると思います。同じ分野であれば、それが新たな大学と企業間の共同研究のきっかけになるかもしれません。

産学連携の新たな価値創造を目指して

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塩野義製薬株式会社 
ワクチン事業本部 ワクチン開発研究所

ワクチン1グループ長 南地 勇 様

今回のテーマを設定された背景と、学生さんに期待されていた点をお聞かせください

弊社は感染症メーカーとして、「感染症の脅威からの解放」を目標に治療薬以外の取り組みも行っています。その中でワクチンの創製にも取り組んでいるのですが、実は本格的に事業参入のための活動をスタートさせたのは2017年ですので、弊社としては比較的若い事業の一つです。
ワクチンの研究開発においては様々な課題を抱えているのですが、バックグラウンドが異なる方や、免疫について詳しい学生さんなどに来ていただいて、我々では思いつかないような様々なアイデアを頂き課題解決に繋げられないか、と考えたのが出発点でした。
また、ワクチンの研究開発を行っている会社は国内では限られていますので、ワクチン研究に興味のある学生さんにとっても貴重な機会を提供できるのではないかと考えてテーマ設定させていただきました。

今回、修士課程の学生をインターン対象にお受け入れいただいた経緯と、その際にご留意された点があればお聞かせください

矢澤さんは修士課程の2回生でエントリーをしていただきました。IDM の募集要項には「博士課程学生」と明記していたため、修士学生の受入れについては社内でも議論がありましたが、エントリーシートを拝見すると、研究に対して熱い思いを持っていらっしゃいましたし、ワクチン研究への適性もありそうだということで、一旦面接までは実施しようという話になりました。
実際に面接させていただくと、矢澤さんは研究インターンシップに対しても、製薬会社に対しても、またワクチン研究に対しても、非常に熱いものをお持ちで、これはぜひ来ていただこうということになりました。応募時点で既に博士に進学を決めておられたので、大学の研究に影響がないようインターン時期は配慮いたしました。
実際に来ていただいて、想像通り非常に熱心に取り組んでいただけたと思っています。

インターンシップ実施中に特に工夫された点がありましたら教えて下さい。

矢澤さんは工学研究科の方で、必ずしもワクチンの薬理研究をやってこられた方ではありませんでした。そのため、来ていただいた当初は、基礎的、定型的な業務にまず従事していただいて、弊社のワクチン研究を行う上で必要なスキルや知識を習得していただきました。
一方で、初月の終わりに差し掛かってくると、矢澤さんは非常に吸収が早いこともあり、必要なスキルをしっかり身につけられていました。ご本人からも「可能であれば、チャレンジングなこともやってみたい」とコメントをいただいたこともあり、新しい研究テーマを設定しようということになりました。
それ以降は、新しいテーマ設定という難しい作業を、様々な研究者と議論をして、自律的に取り組まれました。スムーズにテーマを設定され、最終的にはキーとなる初期データをきちんと取得されましたので、我々としても驚いたというのが率直な印象です。

学生への指導について、どのような体制でご対応されましたか

チーム内の様々な人についていただき実験や議論を行うことを基本とし、さらに一人のベテラン研究員を側につけて、毎日議論しながら進めてもらいました。これは、弊社の新入社員向けのトレーナー制度という育成プログラムと同じ体制です。
情報管理という点では、特に当初携わっていただいた研究が、外部の先生も関わっているような内容でしたため、社外はもちろん、社内でも限られたチームメンバーにしか情報が開示できないということがありました。
その点に関しては、我々としても矢澤さんを受け入れながらルールを見直し、今はできるだけインターン学生にも情報は開示した上で議論できる環境を作っていく方がいいだろうと考えています。もちろん現実的には、全てをお伝えすることは難しいのですが、様々な経験を積んでいただくためには、可能な限り情報をオープンにして、インターンシップに入っていただくことが良いと考えています。

学生さんと関わってみて、印象に残っているエピソードや姿勢などがあればお聞かせください。

コミュニケーション能力の高さが非常に印象に残っています。新しい研究テーマを決めるにあたって、矢澤さんからすれば初めて会う研究員相手に、未知の研究テーマに関しての議論をしなければならないという状況だったわけですが、期待以上にいろんな人と議論をしてテーマを作っていってくれました。
社内にスペシャリストという特に専門性が高く中心的な研究者がいるのですが、そのスペシャリストも含めて矢澤さんは複数の研究員に自分から面談を設定していました。興味のあることに関しては、自分から情報を取りに行って議論する姿勢が印象的でした。
先述のスペシャリストも「自分の研究に対する姿勢を見直す機会になりました」と言うぐらい、熱意を持って参加していただけました。

企業側の視点から見て成長を感じられた点や、学生さんが力を発揮された場面がありましたら教えてください。

矢澤さんはコミュニケーション能力の高さはもともと十分発揮されていたのですが、初めは弊社側の情報管理の厳しさもあり、ご自身も遠慮されていたように見えました。しかし、後半に入ってからは、自分で必要な情報は積極的に自分から取りに行かないといけないということを認識いただいて、そこは大きく行動が変わった点だと思います。
また、企業では必要なデータを「最小のリソースで最短で効率的に得る」ことが求められ、初めはそこで戸惑っていたように見えました。しかしながら、後半に入ってからはどうしたら効率的にデータを取れるか、どういう優先順位で実験を行っていくか常に意識され実験計画を立てておられ、大きな成長が認められました。

今後インターンシップで学生さんに求めたいことや、教員の先生方へのご要望があれば教えてください

学生さんのインターンシップに対する熱意はもちろん必要ですが、企業ではテーマ設定が必ずしも専門性に適合するとは限りません。それは、企業に入社されても同様で、会社都合で研究テーマを変更せざるを得ないこともあります。たとえ異なるテーマであっても、楽しんで参加しようと思えるオープンな気持ちで参加していただけると嬉しいです。
また、学生さんの知識やスキルあるいは学びたいことについて、事前に詳細な情報があると研究テーマを立てやすくなりますし、先生方が日常的に学生さんを見ていて、企業でぜひ学んでほしい、伸ばしてほしいという点がもしあれば、それも考慮してテーマ設定を行うことができると思います。別途先生とお話できる機会があれば、研究インターンシップ実施中に何か課題があったときに、ご相談させていただく機会も作りやすくなりますので、そう言った機会もぜひあればと思います。

今回の研究インターンシップを通じて、企業側の視点から見た実施の意義や効果についてお聞かせください

バックグラウンドが違う研究者を受け入れることで、我々にとっても新しい視点や考え、アイデアを生む源泉となりました。これは企業にとっても大きなメリットです。新しい研究テーマを立ち上げる中で矢澤さんでないと思いつかなかったアプローチも提案頂き、実際にキーデータの取得に繋がりました。バックグラウンドの異なる研究者の方に入っていただくことの重要性を改めて認識しました。
また、私たちは大学の先生方と多くの共同研究を行っていますが、人材交流という点ではまだ改善の余地があるのではと感じております。企業としては製品を出していくことがゴールですが、大学の先生方はサイエンスとして社会に公表し、社会の発展に寄与したいという思いで研究されています。共同研究において最も重要なのは、両者の目線を合わせてWIN-WINの関係を築くことですが、そのためにはその両方を知っている人材が必要です。
そのため、アカデミアと企業を行き来できるような体制を作ることが、将来的には日本の科学技術の向上に貢献できると考えています。インターンシップはその一つの手段として、中長期的には、アカデミアと企業の人材交流という観点で重要な意味を持つと考えています。

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写真提供:塩野義製薬

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一般社団法人産学協働イノベーション人材育成協議会(C-ENGINE)は、日本のリーディングカンパニーと主要大学でコンソーシアムを形成し、大学院生、企業それぞれにメリットのある研究インターンシップを推進しています。

C-ENGINEの研究インターンシップは、あなたの研究と社会の接点を見つけるところから始まります。
企業と共に、どんなところで共同できるか、お互いの状況をすり合わせ、
1件1件カスタマイズ・オーダーメイドで組み立てていくプログラムです。

企業の研究所でじっくり腰を落ち着けて、企業のメンバーとして、研究開発業務に関わりながら、社会との関わりをより深く実感し、研究の視野の広がりや、今後どのようなキャリアパスを描くかを考えるための指針を得る絶好の機会として本プログラムの積極的なご活用をお待ちしております!

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