以下に、大学院生が応募可能で、情報が公開されている奨学金・研究助成金募集情報をとりまとめました。

大学院での研究生活で資金面で不安・心配がある人は、こうした制度への応募も検討してください。

特に研究助成金を自分で引っ張ってこれるようになることは、今後研究者としてキャリアを積んでいく上では必須です。是非参考にしてみてくださいね!

(C-ENGINEメンバー企業関係を中心に掲載しています。最新情報はリンク元からご確認ください。)

修士・博士学生でも応募できる研究助成金等はある?

リストの後に、助成金の申請書作成ポイントをまとめています!

給付型奨学金

給付金については大学を通して申請するもの、大学学部時代からの奨学生が対象であるもの、地域が限定されているものなどあり、それぞれ募集対象や応募方法が異なりますので、必ず詳細を確認してください。

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名称対象分野対象学生支給額/月応募方法応募期間
JEES・MHIみらい奨学金
JEES冠奨学金
化学、電気・電子、機械、原子力、情報、金属・材料指定大学の修士課程(1年次)
女子学生
※要指定大学推薦
12万円

書類送付

2月上旬~5月上旬
多田野奨学会全分野保護者が香川県内に住所がある学生で、原則として本籍が香川県の者。当奨学会の大学奨学生。

修士:8万円
博士:8万円

書類送付毎年12月末
書類提出締め切り
中谷医工計測技術振興財団 大学院生奨学金
–シスメックス
BME (Bio Medical Engineering)分野博士号の取得を目指す、日本の大学院に入学予定または在籍中の大学院生(留学生は除く)。修士:12万円
博士:20万円
Web、書類送付R7.4.1-6.2
住友電工グループ社会貢献基金理工系修士、学士、留学生、海外留学生修士:3万円大学申請R6年度
R6.4
山田育英会
–ダイキン工業
全分野本年度新入学生
※出身学校長/大学学長又は学部長等の推薦要
学部:3万円
修士:5万円
Web4月1日~6月中旬
竹中育英会 奨学金全分野

・指定した大学(院)2年次
・新たに博士課程に進学する者
・日本国籍を持つもの
・25歳以下(博士後期課程進学者)

学部:8万円
修士:8万円
博士:10万円
学部生・修士・留学生:大学申請
博士:書類送付

(博士)
4月上旬

研究助成(大学院生への助成実績あり)

研究助成金は、その多くが博士課程終了後の研究者対象となりますが、一部大学院生も応募可、というものがあります。研究を継続するには皆さんの研究テーマの価値を社会に認めてもらう必要があります。日本学術振興会の特別研究員制度(学振)や、次世代型研究者挑戦的研究プログラム(SPRING)には皆さん挑戦されるかとは思いますが、民間でも研究助成事業を実施しているところがいろいろあります。応募可能なものを見つけたら、資金獲得に是非挑戦してみましょう

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名称対象分野助成額応募方法応募期間
竹中育英会 建築研究助成建築に関する学術・技術の研究

大学院生または同等の者で「無所得」の研究者で、日本建築学会の個人会員(正会員・準会員)
50万円書類送付3月上旬
村田学術振興・教育財団 研究助成、研究者海外派遣援助【自然科学】エレクトロニクスを中心とする自然科学の研究、
【人文・社会科学】国際化にともなう法律・経済・社会・文化等の諸問題に関する研究、
【文理融合】自然科学と人文・社会科学の知を連携・融合させた研究

申請時に日本の大学や研究機関などに所属し、所属機関の長(学部長・科長・研究所長・教授等)の承諾を得られる研究者で、日本人または日本国内に在住する外国人。
100-200万円
海外派遣援助:
10-100万円
Web3月上旬
倉田奨励金
–日立製作所
自然科学・工学研究部門
 Ⅰ. エネルギー・環境
 Ⅱ. 都市・交通
 Ⅲ. 健康・医療
人文・社会科学研究部門

日本国内の大学及びその附属研究施設、研究機関、高等専門学校に所属する研究者(株式会社に所属する研究者は除く)を対象。公募制。大学院生の応募可。
自然科学・工学:
 100万円(1年)
 300万円(2年)

人文・社会科学:
 100万円(1年)
Web7月1日~9月中旬
DNP文化振興財団 グラフィック文化に関する学術研究助成

A部門 グラフィックデザイン、グラフィックアート全般をテーマとする学術研究(例:美術史、デザイン史、美学、芸術学、博物館学、美術教育学、比較文化論、画像工学、技法材料・保存科学、心理学、法学、経済学等)

B部門 グラフィック文化に関するアーカイブをテーマとする研究(グラフィックデザイン、タイポグラフィ、印刷、版画、写真等のグラフィック文化に関係するアーカイブ構築に関わる研究。または既存のアーカイブが所蔵する史資料の調査・分析、あるいは整理分類手法やデータモデルの提案といったアーカイブ自体の基礎研究等)

グラフィックデザイン、グラフィックアートに関する研究を行う研究者の個人またはグループ
上限50万円Web4月1日~6月中旬
コニカミノルタ科学技術振興財団 コニカミノルタ画像科学奨励賞

AI、エレクトロニクス、ICT、医療、生命科学、生物、バイオテクノロジー、材料、デバイス、光学、環境、スマート農業、エネルギー、ロボティクス、量子コンピューティング等の幅広い技術領域を対象。
これら様々な研究分野における「光と画像」に関わる研究で、社会課題の解決に寄与する斬新な発想による挑戦的な研究を以下の3分野に分けてテーマ募集します。1. 光と画像に関する材料及びデバイスの研究
2. 光と画像に関するシステム及びソフトウエアの研究
3. 光と画像に関するその他の先端的な研究


日本の大学、国公立及び民間公益研究機関に所属する研究者。40才以下。大学院生も応募可能。
奨励賞(優秀賞)
 助成金 200万円
奨励賞 
 助成金 100万円
Web、書類送付7月1日~9月末

細胞科学研究財団 育成助成
–塩野義製薬

病因、病態の解明および疾病の予防、制御に寄与する細胞科学に関する研究。
受入れ大学または学術研究機関が決定し、年度内にその育成の開始が予定されている者。原則として1年以上の育成期間を予定している者。40才以下。
120万円Web9月1日~10月末

松下幸之助記念志財団研究助成
–パナソニック

人文科学・社会科学
・国際相互理解の促進・わが国と諸外国との間に介在する諸問題の解決
・自然と人間との共生
に関する世界的な視野に立った社会的・学術的に要請の高い調査研究


申請書提出時に博士後期課程在籍者及び博士後期課程終了後5年以内の者/過去に当財団の助成を受けていない者/日本在住者/日本国外に所在する大学院、団体、研究機関等に所属していない者に限る
上限80万円Web

4月1日~5月上旬

公益財団法人宇宙科学振興会
国際学会出席旅費支援
宇宙理学(飛翔体を用いた観測、探査、実験に関連する理学研究)及び宇宙工学(宇宙航空工学を含む)

宇宙理学及び宇宙工学に関する独創的・先駆的な研究活動を行っており、その成果を国際学会で発表すること希望する、35歳以下の大学・研究機関の教職員及び大学院生
 10~30万円/件 申請書をメール提出

締切:

・8月31日
・2月末日
公益財団法人日本科学協会
笹川科学研究助成
(学術研究部門)
人文・社会科学および自然科学(数物・工学、化学、生物、複合、ただし医学を除く)に関する研究

35歳以下の大学院生、雇用研究者(非常勤、任期付き)
最大150万円/件Web9月中旬~10月中旬

博士課程終了後の研究テーマで応募可能な若手研究者支援・研究助成

博士課程終了後、研究者として独り立ちすることが求められます。民間でもいろいろと助成事業をおこなっていますので、参考にしていただければと思います。(以下はC-ENGINE会員企業関連のものです)

  • 公益財団法人島津科学技術財団「研究開発助成」
    分野:
    「主として科学計測に係る科学技術領域全般」
    「新分野」(年度毎にテーマ指定あり)
    対象:国内研究機関に所属する45歳以下の研究者。
  • 公益財団法人東レ科学振興会「東レ科学技術研究助成」
    分野:自然科学・材料・化学系全般
    対象:国内の研究機関において自らのアイディアで萌芽的研究に従事しており、かつ今後の研究の成果が科学技術の進歩、発展に貢献するところが大きいと考えられる若手研究者(原則として推薦時45歳以下もしくは博士学位取得後10年以内)。
  • 公益財団法人市村清新技術財団
    分野:地球環境研究助成、植物研究助成
    対象:大学の研究者または公的研究機関に所属する常勤研究者
  • 日本ベーリンガーインゲルハイム ベルツ研究助成
    テーマ:インスリン分泌制御機構とインスリン分泌低下性糖尿病
    対象:2026年12月31日時点で学位取得後15年以内(学位取得年が2011年以降の方)」の日本国内で医学研究に従事する医師(その他要件あり)
  • 公益財団法人三菱財団
    「自然科学研究助成」:自然科学のすべての分野対象・独立した個人研究対象
    「人文科学研究助成」:人文社会系研究全般を対象・特定のテーマの個人・法人・団体による研究
    「社会福祉事業・研究助成」:社会福祉を目的とし、社会的意義があり、他のモデルとなりうる非営利の「事業/活動」、または開拓的ないし実験的な社会福祉に関する科学的「調査研究」が対象
  • 公益財団法人住友電工グループ社会貢献基金 学術・研究助成
    自然科学・工学や社会科学の先進的・独創的な研究が対象。資源・エネルギーの確保、地球環境保護、世界人口の増加と水食料不足、長寿高齢化社会の到来、経済格差の拡大等現代の重要課題の解決に向けたテーマを対象。
  • 公益財団法人住友財団
    「基礎科学研究助成」:数学、物理学、化学、生物学及びこれらの複合分野並びに工学の基礎分野における萌芽的研究をおこなう45歳以下の若手研究者が対象
    その他「環境研究助成」「アジア諸国における日本関連研究助成」等も

その他、公益財団法人助成財団センターでも、助成金・奨学金・助成団体を検索することができます!

【研究助成】申請書を書く前に知っておきたいポイント

研究助成金の申請書は、単なる「研究の良さ」を説明する書類というより、「あなたの研究がなぜ今必要で、その研究をあなたが進める理由は何か」 を伝える資料です。
そのため、研究内容の深さだけでなく、読み手が理解しやすい構造や、説得力のある文脈づくりが重要になります。
以下のポイントを押さえて、申請全体の完成度を高めましょう!

■ 1.「この研究はなぜ今必要か」を最初に示す

読み手は、あなたの専門分野に詳しくない場合があります。
だからこそ冒頭で 社会的背景・学術的背景・未解決の課題 を簡潔に示し、
「この研究が今取り組むべきテーマである」ことを理解してもらうことが大切です。
ここが明確だと、研究目的や手法の説得力が自然と増します。

■ 2. 目的は シンプル・明快に!

助成金の審査では、説明的で冗長な目的よりも、一文で言い切れるような明確な目的 が強い印象を与えます。
例えば「〇〇のメカニズムを解明する」「□□法を開発する」など、読み手が迷わないようシンプル・明快な目標を提示しましょう。

■ 3.「先行研究との差分」を明確に書く

研究の独創性は、先行研究と比較して初めて伝わります。その「差分」を明確に、ていねいに書けるかどうかで、審査員はあなたの研究が本当に新しいのかを判断します。
単に先行研究を羅列するのみ、あるいは先行研究との比較無しに「研究が少ない」「未解明」「新しい着想」と書くのみでは、あなたの研究が、「これまでの先行研究の蓄積の中のどの部分(課題/限界/不足点)を超えようとしているのか」が曖昧なままです。これをしっかり言語化することが大切です。
差分が明快になると、研究の新規性・必要性が自然に補強されます。

例:「○○の定量評価は進んでいる一方、□□の条件下における時間依存性の解析は未着手である」
「既存研究は△△法を前提としているが、××状態での挙動は未検証である」

「目的」に差分があれば、それだけでも研究意義は説明可能となるし、「アプローチ」に差分があれば、そのアプローチの有利性を説明することでこれも研究の意義をしっかり説明することになります。

つまり、これまでの研究の「壁」

  • 未解明
  • 不足点
  • 盲点・バイアス
  • 技術的制約
  • スケール的制約
  • 観測手法の限界

をはっきり示したうえで、自身の研究がその壁を越えるものだ、という説明が必要です。これができると、いわゆる自分の研究の位置づけ立ち位置がうまく説明できたことになります!

■ 4. 方法・計画は「実現可能性が伝わるか」で書く

審査では、「本当にこの人がこの計画を遂行できるか?」を見ています。
そのため、手法の技術的説明よりも、
スケジュール・実験条件・代替手段など、リスクを踏まえた計画性 を示す方が評価が高くなります。
研究の深さと同じくらい、「この人ならやり切れる」という納得感が重要です。

計画の粒度を具体的に

概要だけのふわっとした計画ではなく、審査員が「実験の光景を思い浮かべられる」程度の具体性が必要だと考えて書くようにしましょう

例:
「A法を用いて実験し、データを解析する」→「A法により〇〇条件下でサンプル◆◆を測定し、変動幅を定量化する」
「条件を変えて検討をおこなう」→「温度〇℃、圧力〇atmの範囲を3段階に分けて比較する」

段階ごとの到達点を書く

研究は長期にわたり不確実性が高いので、計画が段階的に示されていることがその実現可能性の判断基準として重要です。例えば3ステップ【事前調査/基礎検証】→【本調査/主解析】→【応用・考察】がどの分野でも考えやすいのではないでしょうか?それぞれの段階で何を実施すれば良いか、具体的に書いてみましょう!

これらを明確にすることで、助成期間のスケジュールも立てやすくなり、【いつ】までに【何】を達成・完了するといった研究タスク管理と予算の関係についても整理しやすくなります。

自分が使える技術、今ある環境を必ず書く

研究の実現可能性を見るにあたっては、計画だけでなく、申請者本人の能力・環境にも注目します。

  • すでに習熟している手法
  • 協力関係にある教員/他の研究室との連携関係
  • 利用可能・準備済みの研究環境
  • 過去の経験

これらを、今回の計画の下支えとして書くことができれば、実現性を高く評価してもらるでしょう。

また、手法において「代替案の提示」ができる場合、是非それも書くようにしてください。研究の不確実性に言及した上で、それを軽減する方法や代替案が提示できれば、「この研究をやり切る力がある学生」であり、「あなた本人でるからこそできる研究なんだ」としてみなされること間違いなしです!謙虚になりすぎず、必要な範囲でアピールしましょう。

■ 5. 研究の意義は「それでどうなるか」が見える形で書く

「意義がある研究です」と説明しても伝わりません。
読み手は、具体的な変化・成果・波及効果 を求めています。
例:

  • 新しい評価手法が確立し、○○分野の実験効率が向上する
  • ○年後には△△の応用につながる可能性がある
  • 学術的には□□のギャップを埋める

こうした「研究成果が出ることでどんないいことが起こるか」が見える説明が、最も説得力を生みます。

■ 6. 第三者チェックは【絶対に必須】

自分では気づかない曖昧さや前提の飛躍が、必ずあります。絶対に別の人に読んでもらいましょう。
読んでもらう相手は、研究室の先輩・後輩でもいいですが、研究の話をあまりしたことが無い専門の少し違う人だとより良いでしょう。第三者に読んでもらうだけで、

  • 説明不足の箇所
  • 曖昧な表現
  • ロジックの抜け

が明確になります。

上記がたくさんあると、審査員は「わからん」と、読む気をなくしてしまいます。研究助成の採否は「伝わったかどうか」で決まるため、第三者のチェックは確実な投資です。

もし応募予定の助成金に、採択経験のある友人や先輩がいたら、申請書を見せてもらうのも良いでしょう。研究分野が違ったとしても参考になると思います。

■ 7. 仕上げは“読み手のルート”を整える

読み手の順路が自然に進むように、

  • 見出しの統一
  • 1段落=1メッセージ
  • 図や模式図の追加
  • 数字・固有名詞の明記

を行うと、申請書全体が格段に読みやすくなります。
情報の質 × 読み手の負担の少なさ が、最終的な評価に大きく影響します。ぱっと見の見た目も重要、ということです。強調(下線や太字)も、本当に必要なところ以外は多用しないように注意しましょう。

おわりに

研究助成金の申請書を書くと、
「自分の研究は社会にどう貢献しうるのか」
「自分の独創性・強みってどこなんだ」「どこが弱い/足りていないか」
といったことを必ず考えなければなりません。

自分の研究を社会と繋げる経験を得たいと思った場合には、研究インターンシップもひとつの選択肢です

🔗研究インターンシップとは ― 博士学生が企業で研究力を磨く新しい学びの形

研究者としての自身の総合力が気になる方は、C-ENGINEが提案するトランスファラブルスキルRISEを活用してみるのもいいかもしれません

🔗一人前の研究者として必要な能力・スキルとは?

異分野の研究者や、研究者でもない一般の人に、自身の研究の価値をどう伝えるか、ということとも関連が強いでしょう。C-ENGINEではそういう異分野研究交流の機会や、わかりやすい発表資料の作り方セミナー等も実施しています。

🔗C-ENGINEで開催している交流会

🔗ポスター・スライド作成術セミナー 第1回 第2回

ぜひ、これらをうまく活用して、「研究者」としてどんどん成長していっていただくことを期待しています!