特別講演会「文系からのイノベーション―文系の専門性を企業価値に変えるには?―」開催報告
2026年5月27日、C-ENGINEでは、京都大学 人と社会の未来研究院 准教授 熊谷誠慈先生をお招きし、「後ろ向きを突破口に ― 人文知とAIが拓く未来」と題した特別講演会を開催しました。
近年、生成AIやロボティクスの急速な発展により、社会や産業のあり方は大きく変化しています。その一方で、「人文学は社会にどのような価値をもたらすのか」「人文系人材の専門性は企業で活かせるのか」といった問いも改めて投げかけられています。講演では、チベット仏教やブータン仏教を専門とする熊谷先生が、ご自身の研究経験をもとに、人文学の可能性とAI時代における新たな役割について語られました。(動画配信中)
「役に立たない」研究が未来を拓く

「役に立たない」からこそ生まれる価値
熊谷先生は、インド仏教学、チベット仏教学、さらにはヒマラヤ地域の土着宗教であるボン教など、研究者が極めて少ない分野を長年研究されています。
こうした研究は、しばしば「何の役に立つのか」と問われます。しかし先生は、「誰も研究していないということは、誰も持っていない知識を持つことでもある」と指摘されました。
一見すると役に立たないように見える知識も、新しい価値や発想の源泉となる可能性があります。人文学は、誰も見ていない世界を発見し、見えない価値を見える形にする学問であると説明されました。
ブータン研究が明らかにした幸福観のルーツ
熊谷先生は、インド仏教学、チベット仏教学、さらにはヒマラヤ地域の土着宗教であるボン教など、研究者が極めて少ない分野を長年研究されています。
こうした研究は、しばしば「何の役に立つのか」と問われます。しかし先生は、「誰も研究していないということは、誰も持っていない知識を持つことでもある」と指摘されました。
ブータンは「幸せの国」として知られていますが、その背景には国民総幸福量(GNH)という独自の理念があります。熊谷先生らの研究グループは、ブータン国教宗派ドゥク派の開祖ツァンパ・ギャレーに関する伝記や写本を世界各地から収集・校訂し、その思想的背景の解明に取り組んできました。
その成果は、単なる歴史研究にとどまりません。ブータンが重視する「幸福」の考え方の源流を探ることで、経済成長だけでは測れない人間の豊かさについて現代社会に問いを投げかけています。
人文学とAIの融合
講演後半では、人文学とAIの融合による新たな挑戦が紹介されました。
熊谷先生は、仏教文献を活用した対話型AI「AIブッダボット」の開発を進めており、近年は生成AIと組み合わせた高度な対話システムの研究にも取り組まれています。
さらに、XR技術を活用した仏教対話システムや、AIを搭載したヒューマノイドロボットの研究も進められています。
こうした研究は単なる技術開発ではありません。AI時代における「人間とは何か」「幸福とは何か」「社会はどうあるべきか」といった根源的な問いを探究する試みでもあります。
その成果は、単なる歴史研究にとどまりません。ブータンが重視する「幸福」の考え方の源流を探ることで、経済成長だけでは測れない人間の豊かさについて現代社会に問いを投げかけています。
AI時代だからこそ人文学が必要になる融合
講演後半では、人文学とAIの融合による新たな挑戦が紹介されました。
講演の最後に熊谷先生は、「技術は『できること』を増やすが、人文学は『何をするべきか』を考える」と述べられました。
AIやロボットが急速に発展する時代において、私たちは技術そのものだけではなく、その技術をどのように社会に活かすべきかを考える必要があります。
人文学と科学技術は対立するものではなく、相互に補完し合う存在です。今回の講演は、人文学の専門知がAIやロボティクスと結び付くことで、新たな価値創造やイノベーションの可能性が生まれることを示す、大変示唆に富む内容となりました。さらに、XR技術を活用した仏教対話システムや、AIを搭載したヒューマノイドロボットの研究も進められています。
こうした研究は単なる技術開発ではありません。AI時代における「人間とは何か」「幸福とは何か」「社会はどうあるべきか」といった根源的な問いを探究する試みでもあります。
その成果は、単なる歴史研究にとどまりません。ブータンが重視する「幸福」の考え方の源流を探ることで、経済成長だけでは測れない人間の豊かさについて現代社会に問いを投げかけています。

