博士課程修了後の進路とは?企業就職・大学教員・研究機関のキャリアパスを解説

博士課程修了後の進路

「博士課程に進学したら、その先は大学教員になるしかないのだろうか」

特に博士進学に悩む人からよく聞く疑問です。
実際には、博士課程修了者のキャリアパスは年々多様化しています。
近年は文部科学省や経済産業省も、博士人材の活躍の場をアカデミアだけでなく産業界へ広げることを重要な政策課題として位置づけています。

一方で、

  • 博士課程修了後にはどんな進路があるのか
  • 企業ではどのような仕事に就くのか
  • 自分に合うキャリアはどう考えればよいのか

については、意外と体系的に学ぶ機会がありません。

本記事では、博士課程修了後の代表的なキャリアパスを整理しながら、それぞれの特徴や考え方を紹介します。

データで見る博士人材のキャリアの変化

国も「博士人材の活躍の場を広げる」方針を打ち出している

かつて博士人材の主な進路は大学や研究機関が中心でした。

しかし近年、文部科学省は「博士人材活躍プラン~博士をとろう~」を策定し、博士人材がアカデミアだけでなく産業界を含む多様なフィールドで活躍することを重要な政策として推進しています。2040年には人口100万人当たりの博士号取得者数を世界トップレベルへ引き上げる目標も掲げられています。

また、文部科学省と経済産業省は共同で「博士人材の民間企業における活躍促進に向けたガイドブック」を策定し、企業・大学・学生それぞれに向けて博士人材活用の促進を呼びかけています。

つまり、

「博士は大学に残るもの」という時代から、
博士人材が社会の様々な場で活躍する時代へ移行しつつある

と言えるでしょう。

博士人材を採用したい企業は増えている?

博士学生の中には、

「企業は博士を求めていないのでは?」 と感じている人もいるかもしれません。

正直なところ、博士人材の採用意向のあり・なしは二極化しているのが現状です。

これまでの事業領域に捉われない新しい価値を創造していくためには、誰にも見えていない問題・まだ解決できていない課題を見出し、深掘りし、新しい世界を切り拓いていける博士人材が必要です。実際に、一部企業側の採用意欲は年々高まってきていると言えるでしょう。

一方、経済産業省の、企業における博士人材の活用及びリカレント教育のあり方に関するアンケート調査(2020年)では、

博士人材を採用したいと考えているにもかかわらず採用できていない企業が多数存在する

ことが報告されています。

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企業における博士人材の活用及びリカレント教育のあり方に関するアンケート調査【経済産業省、2020年】

博士人材を採用したいのに採用できないのは、マッチングがうまくいっていないということが挙げられます。特に、自社産業との専門性マッチングという観点でしか博士人材採用を捉えられていない企業では、博士人材がもつ研究遂行力、課題解決力、思考力、分析力等をうまく評価できず採用に至らない、というケースもあるでしょう。

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企業側は

  • 必要な専門分野の博士人材と出会えない
  • 博士人材の強みが十分に見えていない

という課題を抱えており、一方で学生側も、

  • 企業研究が見えない
  • 自分の専門性が活かせるかわからない
  • 企業で研究を続けられるイメージが持てない

という不安を抱えています。

つまり問題は、

「博士人材が不要だから」ではなく、「お互いを知らないから」 という側面が大きいのです。

博士課程修了後の進路とは?

博士課程修了後の進路は、大まかに次の5つに整理できます。

① 大学・研究機関(アカデミア)

もっともイメージしやすい進路です。

  • ポスドク
  • 助教
  • 講師
  • 准教授
  • 教授

など、研究と教育を中心にキャリアを積み上げていきます。

自ら研究テーマを設定し、長期的に探究できる魅力があります。一方で、研究だけでなく教育や組織運営、外部資金獲得など、研究以外の役割も求められます。

② 公的研究機関

研究を中心にキャリアを築きたい人にとって重要な選択肢です。

例えば、

  • 理化学研究所
  • 産業技術総合研究所
  • 情報通信研究機構

などの研究機関があります。

大学よりも大型プロジェクトに参加する機会が多く、産学連携や社会実装との距離が近い研究も少なくありません。

③ 企業の研究開発職

近年、特に注目されている進路です。

企業研究職では、

  • 新素材開発
  • 創薬研究
  • AI・データサイエンス
  • 半導体
  • エネルギー
  • 機械・ロボティクス

など、多様な研究開発に携わります。

大学との大きな違いは、

「知るための研究」だけでなく「社会実装するための研究」 に取り組む点です。

研究成果が実際の製品やサービスとして社会に届く過程を経験できることは、企業研究ならではの魅力でしょう。

④ 専門性を活かしたキャリア

博士号取得者の活躍の場は研究職だけではありません。

例えば、

  • データサイエンティスト
  • コンサルタント
  • 知財・特許関連職
  • 技術営業
  • 政策立案
  • シンクタンク研究員・リサーチャー

などがあります。

企業が博士人材に期待しているのは、必ずしも専門知識そのものだけではありません。

  • 課題設定力
  • 仮説構築力
  • 情報収集力
  • 分析力
  • 不確実な状況で考え続ける力

といった能力も高く評価されています。

⑤ 起業・スタートアップ

近年は大学発ベンチャーも増えています。

自身の研究成果を事業化したり、研究経験を活かして新たな価値創出に挑戦したりする博士人材も少なくありません。

特に、

  • AI
  • バイオ
  • 医療
  • 材料
  • クリーンテック

分野では博士人材が中心となって創業するケースも増えています。

企業を知らないまま進路を決めるのはもったいない

博士学生の中には、
「企業に行ったら研究ができなくなるのでは」 と考える人もいます。
しかし実際には、多くの企業で最先端の研究開発が行われています。

一方で企業も、
「博士人材を採用したいが、出会う機会がない」 という課題を抱えています。

つまり、学生も企業も、お互いを十分に知らないまま、進路選択や採用活動を行っているケースが少なくないのです。

もし大学以外の進路を少しでも検討しているなら、

  • 企業研究者の話を聞く
  • 企業見学に参加する
  • 研究インターンシップに挑戦する

といった機会を活用してみることをおすすめします。

進路を決める前に企業研究の実態を知ることで、自分自身の可能性が大きく広がるかもしれません。

「どこで働くか」だけでなく「どんな研究者になりたいか」

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キャリアを考えるとき、

  • 大学か企業か
  • 研究職かそれ以外か

という二択で考えてしまいがちです。

しかし本当に大切なのは、

「どこで働くか」 ではなく、「どんな問いに向き合いたいか」 かもしれません。

例えば、

  • 自由度の高い研究を続けたい
  • 社会実装を重視したい
  • 多様な専門家と協働したい
  • 技術を通じて社会課題を解決したい

など、人によって重視するものは異なります。

キャリアパスは、その実現手段の一つに過ぎません。

まとめ

博士課程修了後のキャリアパスは、もはやアカデミアだけではありません。

  • 大学・研究機関
  • 公的研究機関
  • 企業研究開発職
  • 専門職・ビジネス職
  • 起業・スタートアップ

など、多様な選択肢があります。

そして近年は、文部科学省・経済産業省も博士人材の産業界での活躍促進を重要な政策として進めています。

大切なのは、「どこに就職するか」だけではなく、「研究者としてどのような価値を生み出したいか」を考えることです。

そのためにも、研究室の外に目を向け、様々な研究者の働き方に触れてみてください。思った以上に、ご自身のキャリアの可能性、進路選択の幅が広がるかもしれませんよ!

参考資料

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